支えるスタッフ Inspector / Stage Manager / Librarian

上杉信隆
上杉信隆
(うえすぎ のぶたか)
Nobitaka UESUGI

《インスペクタークイズ》

次のうちインスペクターの役割では無いものはどれでしょう?

  1. リハーサル曲順や時間割りを指揮者に提案・相談
  2. 公演日の楽屋割りの調整、設営
  3. ハープやピアノなど楽団に在籍(ざいせき)していない客演奏者の手配

クイズの答え

楽団によってインスペクターの役割はちがいますが、都響の場合は3つともインスペクターの役割です

<お仕事の流れ>

2~5ヶ月前から客演奏者の手配(1年前から手配する場合もあります)をします。
約1ヶ月前にリハーサルの曲順などを指揮者に提案・相談し、楽団員の出番の確認、客演奏者への依頼(いらい)などをします。
リハーサルが始まると、進みぐあいを確認し、ソリストなどのスタンバイ確認・調整をします。
演奏会当日は、最終リハーサル(ゲネプロ)の約3時間前に会場入りし、楽屋割りや設営、ゲネプロの進行状況確認をし、本番をむかえます。

<お仕事の難しいところ>

「これがインスペクターの仕事」と決まっているものがあるわけではないので、「何をしているかわからないヒト」かもしれません。
ですが、指揮者やソリスト・演奏者といったオーケストラに関わる「ヒト」たちが、それぞれの役割に集中できる環境(かんきょう)をステージマネージャーやライブラリアンと協力して作る、サポートすることがインスペクターの役割と考えています。

浅見健太郎
浅見健太郎
(あさみ けんたろう)
Kentaro ASAMI

《ステージ・マネージャークイズ》

舞台を作成するとき習慣として使っている寸法の単位はなんでしょうか?

  1. メートル
  2. フィート

クイズの答え

尺(尺貫法) オーケストラは西洋の音楽ですが、日本の舞台全般的に長く尺貫法が使われており、コンサート会場の施設・備品関係がそれに準じて作られていることが多いためです。

実は、土地の大きさ(坪)や部屋の大きさ(畳)など日常生活にもそれが使われていますよ。

<お仕事の流れ>

演奏会場の舞台(ぶたい)の大きさを元に、指揮者の希望と演奏者の演奏しやすさや公演進行の都合を重ね合わせた配置プランを考え、練習場での準備をします。
また公演当日はそれをふまえセッティング、コンサートではスタッフみんなで段取り良く進行管理をしています。

<お仕事の難しいところ>

演奏者がその技術を100%発揮できるようなステージを目指して、周辺の環境(かんきょう)作りをしています。みんなが同じ事を求めているのではなく、100人いたら100通りの希望があり、状況(じょうきょう)によっては全てがかなえられるものではないため、そこが苦心するところです。
そして演奏に最良の環境作りを心がけてステージプランを考えセッティングをする事がむずかしくもあり、面白みです。とは言え、自分たちの仕事は存在感はいらないので、さも当然のように使いやすく組み上げられたステージになるよう心がけています。
そして、とどこおりなく最後の音が鳴り終わりお客さんの拍手を聞くとホッとして、それがやりがいなのかなと思います。

糸永桂子
糸永桂子
(いとなが けいこ)
Keiko ITONAGA

《ライブラリアンクイズ》

これは何を意味しているでしょうか?

  • 6363/6361/7.,Hp.Pf.Cel.Synth. 16.14.12.10.8

クイズの答え

4月30日公演のパート別に列記した演奏者数です。
左からフルート6人オーボエ3人…とスコア順に明記。ライブラリアンから発信する大切なじょうほうです。

<お仕事の流れ>

プログラムが決定する前に楽曲と楽譜について調べます。内容は楽器編成(へんせい)、楽器配置、著作権許諾(ちょさくけんきょだく)、初演権確保(しょえんけんかくほ)や楽譜出版状況(がくふしゅっぱんじょうきょう)など。合わせて、いくらお金がかかるかも調べます。
プログラム決定後は指揮者の希望をききつつ、楽譜にボウイング[弓の動かし方]やカットする場所などを記入したり、楽譜を大きくしたり、演奏しやすいように楽譜を準備して演奏会にそなえます。

<お仕事の難しいところ>

オーケストラ・ライブラリアンは、音楽理論や音楽史、楽器学、ソルフェージュなど専門性(せんもんせい)の高い知しきをくしするだけでなく、語学、著作権法、楽譜の修復(しゅうふく)や維持(いじ)管理などたくさんのスキルが求められます。
公演準備をいくつも同時進行させているため、大切なのは効率の良い優先順位をつけることです。
なかでも時間を割くのは新しい楽譜の準備です。楽譜にはミスが無いと思われるかもしれませんが、実は多くのミスプリントがあるため、事前に修正しリハーサルには音楽作りに集中してもらうように心がけています。
また、公演を成功させるためには指揮者や演奏者、他部門とのコミュニケーションも大切です。
責任の重い仕事ですが、オーケストラをかげから支える重要な存在として大きなやりがいもあります。