定期演奏会 Cシリーズ

第943回定期演奏会Cシリーズ

終了日時：2022年2月23日（水・祝） 14:00開演（13:00開場）

場所：東京芸術劇場コンサートホールホール案内座席表

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出演

指揮／大野和士
フルート／柳原佑介（都響首席奏者）

プロフィール一覧

大野和士　Kazushi ONO（音楽監督）

都響およびブリュッセル・フィルハーモニックの音楽監督、新国立劇場オペラ芸術監督。
　1987年トスカニーニ国際指揮者コンクール優勝。これまでに、ザグレブ・フィル音楽監督、都響指揮者、東京フィル常任指揮者（現・桂冠指揮者）、カールスルーエ・バーデン州立劇場音楽総監督、モネ劇場（ベルギー王立歌劇場）音楽監督、アルトゥーロ・トスカニーニ・フィル首席客演指揮者、フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者、バルセロナ響音楽監督を歴任。
　フランス批評家大賞、フランス芸術文化勲章「オフィシエ」、リヨン市特別メダル、朝日賞など受賞・受章多数。文化功労者。
　2017年、大野和士が9年間率いたリヨン歌劇場は、インターナショナル・オペラ・アワードで「最優秀オペラハウス2017」を獲得。2019、21年に自ら発案した国際プロジェクトで『トゥーランドット』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を指揮、ともに記念碑的な公演となり高い評価を受けた。新国立劇場では2019年以降、西村朗『紫苑物語』、藤倉大『アルマゲドンの夢』、渋谷慶一郎『スーパーエンジェル』を世界初演、また『ワルキューレ』『カルメン』『ペレアスとメリザンド』『ボリス・ゴドゥノフ』『ラ・ボエーム』『シモン・ボッカネグラ』と話題作を次々に手掛けた。
　2023年、作曲家マルティン・マタロンによる『メトロポリス』映画音楽コンサートでパリ管を指揮し、同作のフランス初演を成功へ導く。2024年3月に新国立劇場で『トリスタンとイゾルデ』を指揮、絶賛を博した。
　同じく2024年3月、新国立劇場はオペラ芸術監督としての現任期（2018年9月～ 2026年8月）に続き、再任（2026年9月～ 2030年8月）を発表した。
https://www.kazushiono.com/

柳原佑介（フルート）

東京生まれ。9歳からフルートを始める。東京藝術大学卒業。石橋正治、金昌国、パウル・マイゼンの各氏に師事。1993年全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。以降多数のコンクールに入賞。1998年には学内にて安宅賞受賞、日本フルートコンクール第3位、日本木管コンクール第1位、日本音楽コンクール第2位・松下賞受賞。日本フィルを経て2004年より都響首席フルート奏者。武蔵野音楽大学非常勤講師。

曲目

ドビュッシー：舞踊詩《遊戯》

曲目解説
ニールセン：フルート協奏曲

曲目解説
ラヴェル：高雅で感傷的なワルツ

曲目解説
R.シュトラウス：歌劇『ばらの騎士』組曲

曲目解説

　1912年、ロシア出身の興行師セルゲイ・ディアギレフ（1872～1929）は、自ら主宰するロシア・バレエ団の舞台のために、クロード・ドビュッシー（1862～1918）にヴァツラフ・ニジンスキー（1890～1950）の台本に基づく《遊戯（Jeux）》の作曲を依頼した。テニスを題材とし、ほの明るい街灯の下で子どものように戯れる男女3人の束の間の恋模様を描いた《遊戯》のタイトルには、「スポーツ競技」「恋の駆け引き」「子どもじみた遊び」といった意味が込められている。
　1913年5月15日の初演は、ニジンスキーの拙い演出もあって賛否相半ばし、かつ2週間後（5月29日）に行われたイゴール・ストラヴィンスキー（1882～1971）の《春の祭典》の初演が巻き起こしたスキャンダルにかき消されたかたちとなって、ドビュッシーの音楽は長く失敗作とみなされていた。
　この作品をめぐる状況が一変するのは1950年代、ピエール・ブーレーズ（1925～2016）らが注目し、その魅力と予言的性格について語るようになってからである。《遊戯》ではすべての素材が変容を重ねる中で、明確にみてとれる構造はすっかり失われている。ブーレーズらは、そこでの動機群の扱いや新ウィーン楽派ばりの音色旋律的発想に、彼らの探求していたセリー音楽（12音技法の音列による構成原理を、音の長さ、強弱、音色などにも当てはめて組織した音楽）の萌芽を読みとって、称賛したのだった。
　物語は、おおむね以下のように進行する。
　冒頭、弦楽器の弱奏を背景に、日暮れ時を表す神秘的な和音が鳴らされる。続いて現れる短い反復音形や素早い上行・下行は転がっていくテニスボールを暗示する。冒頭の神秘的な和音が再び鳴らされると、クラリネットの独奏と共にラケットをかかえた青年が通り過ぎる。続いて弦楽器に軽やかなトリルを主体とした旋律が現れ、ふたりの少女の登場を告げる。
　やがて少女たちはひとりずつ踊り出すが、その軽快な音の流れが青年の登場によって突如断ち切られる。逃げ出そうとした少女たちを引き留め、青年は大らかな弦の歌と共に踊り始める。少女のひとりが彼に誘われ、いっしょに踊りながら気持ちを高ぶらせていく一方で、もうひとりは嫉妬からいらだちをみせ、音楽はせわしなく皮肉めいたものへと変わる。青年は彼女にも声をかけ、3人で踊り出す。
　音楽は3人の繰り広げる鬼ごっこと心の動きを映して、軽快なスケルツォから嫉妬に沈む内向までの間を揺れ動く。流麗な線とせわしない動きとがない交ぜになってクライマックスへと向かう中、高ぶる3人は不意に動きを止めて、口づけを交わそうとする。するとどこからかテニスボールが飛んできて彼らの足許に落ちる（木管による素早い下行音型）。驚いた3人は逃げ出す。冒頭の神秘的な和音が回帰し、すべては夕闇の中に融けてゆく。
　（相場ひろ）

作曲年代	1912年6～10月
初　　演	1913年5月15日　パリ　ピエール・モントゥー指揮
楽器編成	ピッコロ2、フルート2、オーボエ3、イングリッシュホルン、クラリネット3、バスクラリネット、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、トランペット4，トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、シンバル、トライアングル、タンブリン、シロフォン、ハープ2、チェレスタ、弦楽5部

　カール・ニールセン（1865～1931）はデンマークの近代音楽の発展に重要な役割を果たした作曲家で、独自の語法とスタイルによって個性的な音世界を追求した。
　フルート協奏曲は後期の1926年の作だが、作曲のきっかけは1922年にコペンハーゲン管楽五重奏団のために管楽五重奏曲を作ったことにあった。この成功を受けてニールセンは各メンバーに1曲ずつ協奏曲を献呈しようと思い立ち、第1弾としてフルート奏者ホルゲル・ギルベルト＝イェスペルセン（1890～1975）のために書いたのがこの協奏曲だった。
　全体は2楽章構成で、フルート独奏を引き立たせるべくオーケストラはフルートを欠く編成をとる。奇抜な楽想、曲想の突然の変化、ひねりの利いた和声、ソロの鮮やかな動きとオーケストラ・パートとのやり取りの面白さなど、後期のニールセンらしい味つけがなされた作品だ。初演は下記のとおりだが（指揮のテルマーニはニールセンの娘婿）、その後ニールセンは第2楽章の終結部分を改訂し、この改訂稿は1927年にコペンハーゲンで作曲者自身の指揮で初演された。現在演奏されるのはこの改訂稿である。
　第1楽章はアレグロ・モデラート、総奏の激しい出だしの後、フルートがせわしい主題を示し、落ち着かない諸楽想が続く。程なくヴァイオリンと木管にたっぷりとした叙情的な主題が現れ、フルートが受け継ぐ。以後も多様な楽想が幾つも出現、激しく打ち鳴らされるティンパニとトロンボーンにフルートが相対する戦闘的な部分、フルートが吹くカンタービレ旋律などが続き、短いカデンツァ、その後の長いカデンツァ（前半はティンパニのトレモロ、後半はクラリネットとファゴットを伴う）を経て、先の叙情主題が再現、穏やかな終結に至る。
　第2楽章はまずアレグレット・ウン・ポーコ、弦の激しい断続的な動機による序奏の後、フルートが軽快な主題を提示、これが敷衍されていく。途中アダージョ・マ・ノン・トロッポとなってフルートが悲哀に満ちた主題を歌い、悲劇的に盛り上がったところで先のアレグレットの軽快な主題が再現、やがて楽章冒頭の動機で激しい音調に転じる。楽章後半は一転テンポ・ディ・マルチアとなって軽快な行進曲調（というより8分の6拍子の舞曲調）の主題を中心に、フルートのドルチェ主題、フルートとティンパニのデュオ、トロンボーンの印象的なグリッサンドを挟みながら、変化溢れる発展を繰り広げる。
　（寺西基之）

作曲年代	1926年
初　　演	1926年10月21日（20日説もある）　パリホルゲル・ギルベルト＝イェスペルセン独奏　エミール・テルマーニ指揮
楽器編成	オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、バストロンボーン、ティンパニ、弦楽5部、独奏フルート

　モーリス・ラヴェル（1875～1937）の作品が公に演奏されたのは1898年、国民音楽協会の演奏会での、2台ピアノのための《耳で聴く風景》が最初であった。国民音楽協会は1871年に、カミーユ・サン＝サーンス（1835～1921）らを発起人として創設された団体で、舞台音楽に重点が置かれていた当時のフランス音楽界において、器楽作品を発表する場を提供し、楽壇の改革を促そうという目標を持って活動したのであった。若き日のラヴェルを協会に強く推薦し、彼の作品を次々に発表させたのは、当時執行部のメンバーであり、彼の恩師であったガブリエル・フォーレ（1845～1924）である。
　しかしながら国民音楽協会は、20世紀に入るや会長職にあったヴァンサン・ダンディ（1851～1931）と、彼がパリ音楽院に対抗して設立（1894年）した音楽学校スコラ・カントールムの関係者が次第に協会内で勢力を強め、彼らの保守的な傾向のためにラヴェルは窮屈さを感じるようになった。1907年1月、国民音楽協会の演奏会で歌曲集《博物誌》の初演が失敗に終わると、ラヴェルはもはや協会に見切りをつける。1909年、ラヴェルは国民音楽協会を脱退し、若手の作曲家たちを誘って新たに独立音楽協会を立ち上げ、以後彼の新作の多くは同協会の演奏会で発表されることとなった。
　1911年5月9日、独立音楽協会は「作者名のない演奏会」と銘打った演奏会を開いた。プログラムに並べられた11曲をすべて匿名で発表・演奏し、聴衆に作曲者名をあてさせるというこの試みの中で、ラヴェルのピアノ曲《高雅で感傷的なワルツ》は発表された。首尾よく作曲者をあてた者もいた一方で、エリック・サティやゾルタン・コダーイの名を挙げた者もいたという。
　この作品はシューベルトの小品集《高雅なワルツ集》D969、《感傷的なワルツ集》D779に想を得ている。シューベルトは「高雅」と「感傷的」という、相容れないふたつの曲想を分割して曲集にまとめたが、それらを敢えてひとつのタイトルに盛り込んだ点に、また高雅でも感傷的でもない刺激的な不協和音によって全曲が開始される点に、ラヴェルらしい悪戯心がうかがえる。全曲は8曲のワルツから成るが、調性的、あるいは動機的な連関によって各曲は分かちがたく連結されている。
　1912年、ロシアの舞踊家ナターシャ・トルハノヴァが自ら踊る舞台のためにラヴェルに短いバレエ音楽を1曲委嘱した。ラヴェルは、当時フランスで人気を得ていたディアギレフ率いるロシア・バレエ団の演目とよい差別化ができると考え、《高雅で感傷的なワルツ》の管弦楽化で依頼に応えた。バレエは《アデライード、または花言葉》というタイトルで、ラヴェル自身の指揮するラムルー管弦楽団によって初演された。この舞台では、フロラン・シュミット作曲の《サロメの悲劇》、ポール・デュカス作曲の《ラ・ペリ》が、やはりそれぞれ作曲者自身の指揮で初演された。
　バレエは19世紀のパリを舞台に、高級娼婦アデライードへのふたりの男の求愛を描く。彼女の主宰する舞踏会（第1曲）で、思い詰めた様子のロレダンは彼女にキンポウゲ（花言葉は「あなたは魅力的だ」）を差し出し、想いを告げる（第2～3曲）。心を許したアデライードは彼と踊るが、パトロンである公爵が入ってくるのを見て動きを止める（第4曲）。公爵はヒマワリ（「はかない富」）と宝石箱を彼女に贈る（第5曲）。公爵は最後のワルツをいっしょに踊ることを願うが、アデライードは拒絶してロレダンを相手に選ぶ（第6～7曲）。宴が終わるとアデライードは公爵にアカシア（「プラトニックな愛」）を、ロレダンにはヒナゲシ（「忘却」）を贈る。公爵はそのまま帰るが、ロレダンは花を拒み、ピストルで自殺しようとする。アデライードは彼に赤い薔薇を手渡してその胸にとびこむ（第8曲）。

　第1曲　中庸の速さで　斬新な和声によるトゥッティで始まる。中間部ではファゴットの旋律が印象的。
　第2曲　十分に遅く　穏やかな木管の序奏で開始され、フルートの旋律が美しい。《マ・メール・ロワ》の「眠りの森の美女のパヴァーヌ」と似た雰囲気をもつ。
　第3曲　中庸の速さで　軽やかなオーボエの旋律で始まる。清澄なワルツ。
　第4曲　十分に活発に　フルート2本とクラリネット2本によるリズミックな呼び交わしで開始。やや性急なワルツ。
　第5曲　やや遅く　物憂げな旋律をクラリネットが奏し、イングリッシュホルンが応え、弦合奏が展開。クラリネットが回帰して静かに終わる。
　第6曲　活発に　上行音型のフレーズを第1ヴァイオリンが奏で、木管が応える。以後も弦合奏と木管の応答で進む。わずか30小節の短い曲。
　第7曲　やや活発に　作曲者が「最も特徴的」と呼んだ曲。《ラ・ヴァルス》を思わせる劇的なトゥッティが登場する。
　第8曲　エピローグ／レント　イングリッシュホルンのため息のような旋律で始まり、これまでのワルツが静かに回想される。
　（相場ひろ）

作曲年代	ピアノ版／1911年　管弦楽編曲／1912年3月
初　　演	ピアノ版／1911年5月9日　パリ　ルイ・オベールバレエ版／1912年4月22日　パリ　作曲者指揮　ラムルー管弦楽団演奏会形式／1914年2月15日　パリ　ピエール・モントゥー指揮　パリ管弦楽団（異説あり）
楽器編成	フルート2、オーボエ2、イングリッシュホルン、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、大太鼓、シンバル、小太鼓、トライアングル、タンブリン、グロッケンシュピール、チェレスタ、弦楽5部

　20世紀に入って作られたオペラの中でも、おそらく最高の人気と上演回数を誇っている、リヒャルト・シュトラウス（1864～1949）の歌劇『ばらの騎士』。1911年の初演直後から、オペラの聴きどころを集めたオーケストラ組曲がさまざまな編曲で登場し、シュトラウス自身も曲中のワルツを集めた2種類のメドレーを編曲している。
　現在オーケストラ・ピースとしてもっぱら演奏されるのは、1945年にブージー&ホークス社から出版された「組曲」である。ところが、シュトラウスの作曲目録ではそれが作曲家自身の編曲なのかどうか、明示されていない。
　研究者間では、この編曲は指揮者アルトゥール・ロジンスキ（1892～1958）によって、1933年から1945年の間になされたもの「らしい」とされている。現在のところ、大きな手がかりとなるのは、オンライン上のニューヨーク・フィル・アーカイヴで近年閲覧可能となった総譜である。もともとのオペラの総譜のコピーを貼り合わせ、つなぎの部分が明らかにシュトラウスとは異なる筆跡によって書き加えられており、この編曲が他者によって手がけられたことは確定的となった。シュトラウス自身がこの種の編曲ものを手がける際は、声楽の含まれない間奏曲や前奏曲を細切れに並べ、つなぎ目の補筆は最小限にとどめるのが常で、作曲家自身の編曲作品とはかなり作風が異なっている。
　もっとも、実際の筋書きにほぼ沿った順番で音楽が並べられることで、曲全体の見通しがはっきりしたのは確かで、数ある組曲の中でも本作が断トツの演奏回数を誇るまでに至ったのはうなずける。
　以下、組曲に登場するエピソード（太字で表記）を、劇のあらすじとともに追いかける。各エピソードは切れ目なく続けて演奏される。
　第1幕
　前奏曲　物語の舞台はマリア・テレジア女帝の治める18世紀のウィーン。陸軍元帥・侯爵夫人マリー・テレーズ・ヴェルデンベルク（以下、元帥夫人）は夫の留守中に、愛人であるロフラーノ伯爵家の跡継ぎオクタヴィアンと情熱的な愛の一夜を過ごす。冒頭のホルンのファンファーレが、愛に逸るオクタヴィアン、それに応える優美な弦楽器の旋律が、大人の余裕を醸し出す元帥夫人を表すモティーフとなる。
　第1幕からはこの場面だけが用いられる。この後、田舎ケルンテンからやってきたオックス・フォン・レルヒェナウ男爵が登場。彼がウィーンへ乗り込んだのは、武器の売買で財産を成し貴族の爵位を手に入れた商人ファーニナル家の娘ゾフィーと婚約するため（そしてその財産を手に入れるため）。婚約の誓いとなる銀のばらを届ける使者として、元帥夫人はオクタヴィアンを指名する。結局、このような関係は長くは続かない、と、元帥夫人はみずからオクタヴィアンとの関係に終止符を打とうと決意する。
　第2幕
　銀のばらの献呈場面、それに続くオクタヴィアンとゾフィーの二重唱　オクタヴィアンは銀のばらを持ってファーニナル家を訪れる（金管のファンファーレ）が、オックスの婚約者ゾフィーに一目惚れしてしまう。この高揚する一瞬をいつまでも忘れない、と、互いの心を別々に歌うふたり。
　ふたりがこっそり逢い引きしているところを捕まる場面　ファーニナル家にやってきたオックスのあまりの不作法さにゾフィーは嫌気が差し、オクタヴィアンに救いを求める。意気投合するふたりだが、その様子を見た出入りの情報屋ヴァルツァッキとアンニーナに現場を押さえられてしまう。
　オックスのワルツ「俺と一緒ならば」　オクタヴィアンはオックスと決闘し、腕にかすり傷を負ったオックスは泣きわめく。やや気持ちが落ち着いたオックスは、小間使いマリアンデル（実は女装したオクタヴィアン）からのラブレターに気をよくし、得意の小唄を歌う。
　第3幕
　オクタヴィアンはオックスとの逢い引きに指定したいかがわしい居酒屋で策を巡らせ、オックスとゾフィーの結婚をご破算にすることに成功。オックスが助けを求めるためにその場に呼んだ元帥夫人は、若いふたりの前途を祝して結びつけ、自身の恋にも幕を引く。
　元帥夫人とオクタヴィアン、ゾフィーの三重唱／オクタヴィアンとゾフィーの二重唱　この三重唱こそ、それぞれの思いが交錯する、シュトラウス随一の名旋律（自身の葬儀ではこの場面の音楽が演奏された）。元帥夫人が退場した後、ようやく結ばれたふたりが、互いの愛を穏やかに歌う。
　オックスが退場する際のワルツ　この部分だけが実際のオペラの順番とは異なる箇所（本来は三重唱の前）に挿入されている。
　フィナーレ　オクタヴィアンのモティーフを援用したオリジナルの旋律。シュトラウスの個性が反映されているとは言いがたく、おそらくは編曲者と目されているロジンスキによるものであろう。
　（広瀬大介）

作曲年代	1909～10年　編曲／1933～45年頃（推定）
初　　演	オペラ全曲／1911年1月26日　ドレスデン宮廷歌劇場　　　　　　エルンスト・フォン・シューフ指揮組曲／1946年9月28日　ウィーン　コンツェルトハウス　　　　　　ハンス・スワロフスキー指揮
楽器編成	フルート3（第3はピッコロ持替）、オーボエ3（第3はイングリッシュホルン持替）、クラリネット3（第3は小クラリネット持替）、バスクラリネット、ファゴット3（第3はコントラファゴット持替）、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、トライアングル、タンブリン、小太鼓、ガラガラ、シンバル、大太鼓、グロッケンシュピール、ハープ2、チェレスタ、弦楽5部

【当日券情報】第943回定期演奏会Cシリーズ（2/22up）
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、都響WEBチケットにて当日券を発売いたします。
会場での対面販売、及び都響ガイドでの電話販売は行っておりませんのでご了承ください。

販売日時：2月23日（水・祝）10:00～13:00　無くなり次第終了
販売方法：都響WEBチケット（セブンイレブン支払・発券／カード払い・電子チケットのみ）
※お申込みには、都響WEBチケットへの事前登録が必要です（登録無料）。
※全席種を販売。
※当日券は会員割引、U-25割引以外の割引はございません。
※U-25割引の当日券はカード払い・電子チケットのみ。
　その他割引をご希望の方は前売りにてお求めください。　
※「来場されるお客様へのご案内」の内容に同意いただいた上でお申込みください。

2022年2月23日（水・祝）第943回定期演奏会Cシリーズ、2月28日（月）第944回定期演奏会Aシリーズの開催について詳細はこちら(1/20up)

※等間隔での空席設定は行いませんが、引き続き、感染症の拡大防止のため、一部の座席は販売いたしません。
※急遽出演者や曲目変更、または公演中止となる場合がございます。公演中止の場合を除き、払い戻しはいたしません。
※政府や自治体によるイベント開催要件に変更があった場合は、開演時間の変更、販売の一時停止、入場者数上限の変更等を行います。

※基礎疾患（糖尿病・心不全・呼吸器疾患等）をお持ちの方や体調に不安のある方は、医師の判断や関係機関の情報をご確認の上、慎重なご判断をお願いいたします。当面の間、当日券は必ず販売いたします。外出や体調に不安のある方は当日券（都響WEBチケットのみ）をご検討ください。
※必ず、「来場されるお客様へのご案内」の内容に同意いただいた上でお申込みください。

聴きどころ

ロシア・バレエ団のために書かれ、ドビュッシー最後の管弦楽曲となった《遊戯》は、時間の流れすらあいまいに感じさせる独特の浮遊感を持つ画期的な作品。室内楽的な編成で豊かな情感を醸し出すニールセンのフルート協奏曲は、都響首席奏者・柳原佑介の独奏でお楽しみください。演奏機会が希少なラヴェルの《高雅で感傷的なワルツ》の後は、ゴージャスなウィンナワルツのオンパレード『ばらの騎士』組曲で気分は最高潮。大野和士の選曲センスが光る、踊りだしたくなるようなプログラムです。