【7/12公演リポート】都響スペシャル2020(7/12)

レポート

 東京都交響楽団が、聴衆を前にした演奏会に、約4か月ぶりに戻ってきた。
 サントリーホールの入場者は600人ほど。いつもは約2000席のホールが満員なのに、3分の1以下に抑えられている。
 少ないとはいえ、抽選に当たって来場した都響会員・サポーターの思いは熱い。ステージに現れたオーケストラはさかんな拍手で歓迎され、楽員も全員が起立して応える。
 音楽監督の大野和士さんの指揮による1曲目は、コープランドの《市民のためのファンファーレ》。力強く輝かしい、金管楽器と打楽器の響き。
 編成が変わり、コンサートマスターの矢部達哉さんなど弦楽や木管の奏者が登場して、次にベートーヴェンの交響曲第1番。
 生誕250年のベートーヴェンの交響曲は、オーケストラにとって永遠のアルファでありオメガだ。密集を避けるために第1ヴァイオリンが12人と少なめで席の間隔も広めなのに、一体感のある堅固なアンサンブルが保たれているのは、さすが都響である。
 休憩のない1時間強のプログラムで、次は再び金管奏者たちが、デュカスの舞踊詩《ラ・ペリ》の「ファンファーレ」を張りのある響きで聴かせた。
 おしまいはプロコフィエフの古典交響曲。ベートーヴェンと同じ古典派風の二管編成を用いながら、書法は複雑化して、響きとリズムには強靱さが求められる。120年ほどで起きたこの変化を、2曲が並ぶことで実感できる。ひさびさの演奏会にもかかわらず、都響の表現力の幅広さとポテンシャルの高さが、よく示された演奏だった。
 今日のプログラムには、絵はがき大の楽員一同からのあいさつ状がはさみこまれ、楽員による手書きの一文も添えられていた。温かい思いが伝わってくる。
 状況は厳しい。しかし都響が、すべてのオーケストラと音楽界、そして世界とともにこの苦難を乗り越えていくだろうことを確信させる、新たな旅立ちの響きだった。

文/山崎浩太郎(音楽評論家)

都響スペシャル2020(7/12)
2020年7月12日(日)
サントリーホール

指揮/大野和士
コープランド:市民のためのファンファーレ
ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
デュカス:舞踊詩《ラ・ペリ》より「ファンファーレ」
プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調 op.25《古典交響曲》

配信期間   :7/29(水)10:00~9/30(水)23:59
価格     :1,000円
配信ページはこちら→ https://w.pia.jp/t/tmso-sp0712/