伊東翔太

第1ヴァイオリン

伊東翔太 (いとうしょうた) Shota ITO

(2021年7月1日入団)

東京音楽大学付属高等学校を経て、同大学を特別特待生として卒業。卒業演奏会に出演。
第27回日本クラシック音楽コンクールアンサンブル部門弦楽器の部第2位(最高位)。2020飛騨河合音楽コンクール第2位(最高位)。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅥに出演。奨学金を得て、ギルドホール音楽院短期留学プログラム修了。
これまでに三戸泰雄、篠﨑功子、荒井英治、大谷康子の各氏に師事。現在、東京都交響楽団ヴァイオリン奏者。

私の音楽はじめて物語

発表会で(小1)
発表会で(小1)
 4歳でピアノを始め、2年後に3歳下の妹がヴァイオリンを始めた時に、自分もヴァイオリンをやりたい、と言い出したらしい。「どうしてもやりたい」と1ヵ月くらい言い続け、それで2つの楽器を並行してやることに。
 ヴァイオリンは坂入文子(ふみこ)先生に師事しました。音楽を楽しみ、基礎もしっかりとやるレッスンだったと思います。小学~中学時代に様々なコンクールに参加しましたが、ピアノなら何か賞をいただけるのに、ヴァイオリンは上手くいかないことが多かったですね。
 小5のころに三戸泰雄先生に替わり、ヴィブラートや音色などを細かく見ていただきました。
 小6で東京音大付属音楽教室へ入った時、自分は2つの楽器をこなせるほど天才じゃないし、教室に入る前にどちらかに絞らなければ、と悩みました。当時はチームスポーツに憧れていて、ヴァイオリンなら皆と一緒にやれる。それと、小4の時に始まったドラマ『のだめカンタービレ』に家族で夢中になり、オーケストラは楽しそうだなと。将来の「仕事」としてもオーケストラが魅力的に思えて、ヴァイオリンをメインにすることに。
 中学から高1まで篠﨑功子先生に教えを受け、「音」へのこだわりを徹底されました。
 東京音大付属高校へ進み、高1の前期に弦楽合奏、後期に初めてオーケストラで弾く体験をしました。高3の《くるみ割り人形》組曲でコンサートマスターをさせていただき、全体をまとめる大変さに悩んだ記憶があります。高2で荒井英治先生に替わり、ヴァイオリンだけでなく音楽全体に視野を広げていただきました。
 東京音大へ進学、荒井先生に並行して大谷康子先生にもレッスンを受けました。大谷先生には、ステージで自分をどう「聴かせる」のかを熱く教えられたと思います。
 大学3年の11月に1ヵ月ほど、ギルドホール音楽院(ロンドン)へ短期留学。学生オーケストラに参加してエサ=ペッカ・サロネンの《LAヴァリエーション》を本人の指揮で弾いたのですが、彼が振ると一つひとつの音が生き始める。凄かったですね。またエイドリアン・リーパーの指揮でマーラーの交響曲第5番もやりました。リハーサルではガタガタだったオーケストラが、本番ではガーっと集中する。「アダージェット」は和声感も色彩感も素晴らしくて、オーケストラのプレイヤーになりたい、という思いが改めて強くなりました。
 2019年春に卒業、当面はフリーランスでしたが、その年の6月に初めて都響のエキストラとして弾いたのがアンドリュー・リットン指揮の《新世界より》。音楽に真摯に取り組み、本番では全員が一つの生き物のように躍動する姿に衝撃を受けました。その後たびたびエキストラへ呼んでいただき、オーディションを経て幸いにも2021年7月に入団となりました。
 1回1回の公演ごとに、まだまだ反省と勉強の日々ですが、1日でも早く、自分の音楽を発信しオーケストラに貢献できるプレイヤーになりたいと思います。

(『月刊都響』2022年12月号 取材・文/友部衆樹)

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