向後崇雄

ファゴット

向後崇雄 (こうごたかお) Takao KOGO

(2007年12月1日入団)

埼玉県さいたま市出身。17歳よりファゴットを始める。武蔵野音楽大学ならびにケルン音楽大学卒業。ライン・ドイツ・オペラ(デュッセルドルフ)研修生を経て、東京都交響楽団に入団する。これまでにファゴットを岡崎耕治、故ゲオルク・クリュッチュの各氏に、ピリオド楽器をヴォルフガング・ダイ氏に師事。ピリオド楽器で演奏するオーケストラ・リベラ・クラシカ、バッハ・コレギウム ・ジャパンのメンバーとしても活動する他、ミニマルミュージック演奏の久石譲氏率いるフューチャーバンドメンバーとしても活動する。

●CD情報
クアドリ・ファゴッティ「ファゴット吹きの休日」

曲目/
1. L. アンダーソン:ファゴット吹きの休日
2. M. ペネーリャ:歌劇「山猫」より「パソドブレ」
3. J. S. ザメスニック:小さなコケット(浮気な娘)
4. H. R. スターン:バイ・ヘック
5. R. ウォーカー:ザ・ファニー・バニー・ハグ
6. M. ルシエ:ソアヴィナ
7-10. A. スティーヴンソン:ディヴェルティメント
11-15. A. スキロウ:ミスター・ミッドシップマン・バスーンブロワー
16-22. D. ブラウン:フェーンシュトゥッケ
23-27. M. ペーター:勇敢な騎士とその友人たち
28-31. J. B. de ボワモルティエ:ソナタ 第6番作品34-6
32. J. パッヘルベル:カノン

演奏/
クアドリ・ファゴッティ
岡崎耕治
向後崇雄
金田直道
山田知史

発売元:マイスター・ミュージック CD紹介+購入ページ 
MM-4515 ¥3,000+税
クアドリ・ファゴッティ<br />
「ファゴット吹きの休日」<br />
¥3,000+税
クアドリ・ファゴッティ
「ファゴット吹きの休日」
¥3,000+税

私の音楽はじめて物語

合宿にて(高校2年)
合宿にて(高校2年)
 私の場合、原点は小学校の音楽の授業だった気がします。音楽専科の男の先生がとてもユニークな方で、教科書を一切使わない。映画『ファンタジア』を題材に、皆で合奏したりして、すごく楽しかった。音楽は受け身じゃなくて、自分からやるものなんだ、と体験した気がします。初めてナマのオーケストラを聴いたのは小学5年の音楽鑑賞教室。東京交響楽団を埼玉会館で聴いて、とても感動したのを覚えています。
 中学では、吹奏楽部に興味はありましたけれど、運動部に入りたくてテニス部へ。
 地元の普通高校へ進んだ時に、何か楽器ができた方が楽しいだろうな、と吹奏楽部へ行くと、当時から体格が良かったので、顧問の先生が「君はテューバだね」と。木管楽器の方がメロディックなイメージがあったので、一応ファゴットやサックスも希望したんですが、もう問答無用状態。
 それで1年間テューバを吹きました。やがて仲良くなった同級生のコントラバス弾きが大のクラシック・ファン。一緒に東京文化会館の演奏会のキャンセル待ちに並んだり、CDを買いあさったりしていました。2年生になると、テューバにも後輩が入ってきた。ファゴットは楽器がまだ空いていたので、「やります!」と言ってファゴットに移りました。
 ところが先輩がいないので、楽器の組み立て方も分からない。教則本を買ってきて、恐る恐る組み立てるところから始めました。でも何か運命的な出会いを感じたんでしょうね。「これでオーケストラをやりたい」「音楽の道へ進みたい」と思ってしまった。若気の至りって怖い(笑)。高校に入るまでは、音楽家になりたい、とはこれっぽっちも考えていなかったですから。
 顧問の先生に岡崎耕治先生(元N響首席ファゴット奏者)を紹介していただいて、高2の7月ころからレッスンを受け始めました。岡崎先生は、音大受験生なら当然ピアノやソルフェージュをやっているはずと思っていたらしくて、「ピアノは?」と聞かれて「全然弾けません」と答えたら、ものすごく怒られた(笑)。それで、奥様の岡崎悦子先生にハノンやチェルニー30番から見ていただきました。
 家にピアノがなかったので、早起きして部室でピアノを弾いて、放課後はファゴットを練習して、夜は楽典の勉強。高校生活後半はそれ一色でした。
 運良く浪人せずに武蔵野音大へ入り、卒業後ケルン音大へ留学。ライン・ドイツ歌劇場管弦楽団へ研修生として入団、2年契約の途中で都響に指名オーディションをしていただき、2007年暮れに入団……と怒濤の日々でした。
 今でも怒濤の中にいる感じです。都響は響きが非常に繊細で、楽団員の音楽に対するモチベーションがとても高い。今後さらに一丸となって、世界へ発信していけたらな、と思っています。

(『月刊都響』2012年6月号 取材・文/友部衆樹)

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