西川圭子

ティンパニ&打楽器

西川圭子 (にしかわけいこ) Keiko NISHIKAWA

(2002年6月1日入団)

東京藝術大学卒業。5歳よりヴァイオリン、10歳より打楽器を始める。
1989年第1回ルクセンブルク国際打楽器コンクール第2位入賞(打楽器四重奏)。
1990年7~9月American Waterways Wind Orchestraのロシア・ヨーロッパツアーに参加。以後、フリーの打楽器奏者としてオーケストラ・室内楽・打楽器アンサンブル等意欲的に活動。
2006年9月より1年間、文化庁による芸術家在外派遣研究員としてウィーンに留学、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団打楽器奏者クラウス・ツァウナー氏に師事し研鑽を積む。
2009年9月には、文化庁主催《明日を担う音楽家たち2009》にて東京交響楽団とAllan.G.Bellの打楽器協奏曲(日本初演)を共演。
打楽器四重奏団「Shun-Ka-Shu-Toh」、Percussion Unit【UNZARI】、【Percussive Movement】のメンバー。
2002年6月より東京都交響楽団打楽器奏者。
雨のむこうがわで 打楽器四重奏団「Shun-Ka-Shu-Toh」<br />
JPCCD-1002 JAPAN PERCUSSION CENTER
雨のむこうがわで 打楽器四重奏団「Shun-Ka-Shu-Toh」
JPCCD-1002 JAPAN PERCUSSION CENTER
組曲「兵士の物語」 東京メトロポリタン・アンサンブル<br />
KICC-6350 キングレコード(株)
組曲「兵士の物語」 東京メトロポリタン・アンサンブル
KICC-6350 キングレコード(株)

私の音楽はじめて物語

左:発表会で(小学1年)右:金管バンドで(中央/小学5年)
左:発表会で(小学1年)右:金管バンドで(中央/小学5年)
 最初に出会った楽器はヴァイオリンです。近所で教室を開いていた山田かおる先生に習い始めたのが5歳の時。丁寧に優しく教えていただき、楽しく弾いていました。そのころの将来の夢は「ヴァイオリンの先生」。無謀でしたが(笑)。
小3の夏に静岡県富士宮市へ引っ越し、ヴァイオリンは沼津市まで通って白柳昇二先生に師事しました。小5から学校の金管バンドに入り、それが打楽器との出会いです。本当はトランペットをやりたかったのですが、当時は気管支が弱かったのと、姉(2歳上)が先に打楽器をやっていたので、何となく。でも始めたら夢中になりました。ヴァイオリンは1人で練習することが多かったのですが、クラブで皆でワイワイとやるのがすごく楽しかった。
中学で吹奏楽部に入ると、合奏練習が金曜日でした。ヴァイオリンのレッスンも金曜日で、半年ほどはレッスンを優先しましたが、合奏に出られないのは悲しくて。それでやむなく、白柳先生に「やめたいのですが……」と申し上げたところ、わりと二つ返事で承諾。「まぁ、ここまでやったら後でやりたくなってもアマチュア・オーケストラ等で楽しめるでしょう」と、引き留められなかった。やはりヴァイオリンの才能はなかったんでしょうね(笑)。
中3の春に東京に戻ったんですが、転校先の中学校には吹奏楽部がなかった。そろそろ受験ですし、吹奏楽は高校でやればいいかなと。その年の夏休みは、進学先を探すために吹奏楽コンクール高校の部を全部聴きました。上手かどうかよりも、大編成で雰囲気が自分に合いそうなところをメモして。それで都立豊多摩高校に決めて、無事入学。行ってみたら、普通高校なんですが、なぜかOBにプロの音楽家がたくさんいる。吹奏楽部には有馬純晴さん(都響首席ホルン奏者)や安藤芳広さん(都響首席打楽器奏者)がコーチにいらしてくださり、嬉しかったですね。
ただ、その時はプロになりたいとは全く考えていなくて、私は一生、アマチュアで楽しく打楽器をやっていくんだ、と思っていました。ところが高2の終わり、進路を決める時期に大の仲良しが「私、国立音大へ行くの」と言ったんですね。それを聞いた瞬間、自分の中でフタをしていた部分がポンと開いて、私は音楽をやりたいんだ、と気がついてしまった。すぐに両親に話をして音大受験を決め、安藤さんに相談してレッスンを受け始めました。安藤さんは当時、東京藝大の学生で、たぶん私が最初期の弟子だと思います。
厳しいレッスンに必死でついていき、ピアノもソルフェージュも子どもの時に少しやっただけだったので改めてやり直し、高3の1年間はそれに明け暮れました。課題が間に合わなくて併願できず、東京藝大しか受けなかったのですが、運良く合格。そこから全てが始まった感じです。
都響に入団して10年ほど経ちました。素晴らしい仲間がいて、世界的な指揮者やソリストとの出会いもある。たくさんの音楽家から刺激を受け、成長できる環境にいられることは本当にありがたいと思っています。

(『月刊都響』2013年3月号 取材・文/友部衆樹)

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