渡邉ゆづき

第1ヴァイオリン 副首席奏者

渡邉ゆづき (わたなべゆづき) Yuzuki WATANABE

(2006年5月1日入団)

ボストンのニューイングランド音楽院の音楽教室、桐朋学園女子高等学校音楽科、桐朋学園ソリスト・ディプロマ・コースを修了。1996年から2002年までパリに留学。パリ・エコールノルマル室内楽科、パリ国立高等音楽院大学院のヴァイオリン科と室内楽科を修了。
これまでに植村祐子、E.ローゼンブリス、進藤義武、久保田良作、久保良治、江藤俊哉、M.キャルサン、A.デュメイ、J.J.カントロフに師事。
1992年東京国際音楽コンクール室内楽部門で斎藤秀雄賞受賞。同年第61回日本音楽コンクール第1位。併せてレウカディア賞、黒柳賞、鷲見賞、海外派遣特別賞を受賞。2001年イタリアにてガエターノ・ジネッティ国際室内楽音楽コンクール第2位。
現在、東京都交響楽団第1ヴァイオリン副首席奏者、洗足学園音楽大学非常勤講師。


●CD情報
<トッパンホールライヴシリーズvol. 2>
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K581
モーツァルト:ホルン五重奏曲 変ホ長調 K407

演奏/四戸世紀(cl)、西條貴人(hr)、川崎洋介(vn)、菅沼ゆづき(vn)、 柳瀬省太(va)、鈴木 学(va)、古川展生(vc)

TDK MA002
トッパンホールライヴシリーズvol. 2
トッパンホールライヴシリーズvol. 2

私の音楽はじめて物語

サマーコースグリーンウッド室内楽コースで(11歳/左端)
サマーコースグリーンウッド室内楽コースで(11歳/左端)
 母方の祖父が音楽好きで、自分の娘にヴァイオリンをやらせたかった。ところが母はどうしても合わなくてピアノと声楽を専攻、やがて初孫(私)が生まれたので、今度こそヴァイオリン、という順番が回ってました(笑)。
 4歳から植村祐子先生に習いました。優しい先生で、レッスンは楽しかったですね。並行して、スズキメソードの合奏(四日市市)に月1回通ったり、植村先生がご主人とやっていらした桑名室内合奏団の演奏に参加したり、アンサンブルの面白さも教えていただけました。小3から名古屋青少年交響楽団でも弾きましたし、このころの原体験は大きかったと思います。
 小5の夏に父の転勤でボストンへ引っ越しました。英語の勉強もしていたのですが、現地の学校へ行った初日に「How are you?」と話しかけられ、それが全く聞き取れなくて大ショック。でも毎週土曜日、ニューイングランド音楽院プレ・コース(子どものための音楽教室)に行って、ソルフェージュも室内楽もオーケストラもたくさんやり、英語ができなくても音楽でコミュニケーションすることはできて、自信になりました。
 アメリカでは表現がとても自由で、皆がワイワイとお祭り騒ぎのように初見でベートーヴェンやバルトークを弾いたりするのですが、到達するレベルがすごく高い。刺激的でした。
 中1の夏に帰国して、南山中学校国際部(現在の南山国際中学校・高等学校)に編入。進藤義武先生に替わり、小3から月1回見ていただいていた久保田良作先生のレッスンも再開しました。
 中2の夏、一度ヴァイオリンを辞めようと思ったんです。進路を決める時期に、母から「音楽は素晴らしいものだけれど、身を立てていくのは大変だから」と趣味にとどめることを勧められて。ところが久保田先生は「もったいないなあ」と。「せめて、記念にコンクールを受けてみたら」と言ってくださったのですね。それで秋に学生音楽コンクールを受けたところ、名古屋大会で1位をいただいて。悩みました。親には自分で決めなさい、と言われ、14歳ながら考えに考えました。そして、人生には苦労があるんだろうな、同じするなら好きなことで苦労したい、とヴァイオリンを続けることに。覚悟を決めた時でしたね。
 桐朋学園女子高校からソリスト・ディプロマ・コースへ進み、久保田良作、久保良治、江藤俊哉、の先生方にお世話になりました。1996年から2002年までパリへ留学、エコール・ノルマルとパリ国立高等音楽院大学院へ進み、キャルサン、デュメイ、カントロフに師事。私は本当に先生との出会いに恵まれたと思います。
 帰国後、フリーの時期を経て2006年に都響へ入団。オーケストラで弾くことの醍醐味を日々感じています。これからも、聴いてくださるお客様が幸せを感じるような、そんな演奏を目指して1回1回のコンサートを頑張りたいですね。

(『月刊都響』2014年11月号 取材・文/友部衆樹)

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