横山和加子

第1ヴァイオリン

横山和加子 (よこやまわかこ) Wakako YOKOYAMA

(2006年2月13日入団)

 桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽部卒業。同大学研究科修了。
 ‘93多摩フレッシュ音楽コンクール入選。第1回江藤俊哉ヴァイオリンコンクール入選。
 サイトウ・キネン・オーケストラ’97ヨーロッパツアーに参加。宮崎国際室内楽音楽祭参加。世田谷美術館プロムナードコンサートにてリサイタル。川口リリアの「ブラームスの室内楽」シリーズで、ブラームス ヴァイオリンソナタ全曲リサイタル。2006年より東京都交響楽団に在籍。
 これまでに、村井陽子、田澤明子、江藤アンジェラ、故江藤俊哉の各氏に師事。

私の音楽はじめて物語

(5歳ころ)
(5歳ころ)
 母が趣味でヴァイオリンを弾いていて、3歳上の姉(横山奈加子/ヴァイオリニスト)が先にレッスンを始めていたので、その影響が大きいですね。ある時、私がヴァイオリンを長椅子に置いて、弓でギコギコやって遊んでいたのを見て、母が「好きなのかも」と思ったらしいです。それで自分もレッスンを始めたんですが、大泣きして抵抗しました(笑)。当時はピアノへの憧れがあって、幼稚園で先生や友だちが弾くのを見て「格好いいなあ」「ピアノの方がいい」と思っていたので。結局、小学2年からピアノも始めました。なのにピアノはあまり熱心にやらなかった、というオチがつくんですが……。
ヴァイオリンを始めたのは5歳になる少し前で、村井陽子先生に習いました。最初は楽器を構えるのがなかなかできなくて苦労したみたいです。小学1年の時に田澤明子先生に代わったんですが、この先生に就く時点で、音楽の道に進むんだな、と子ども心に自覚した記憶があります。片道2時間かけて、すごい先生のところへ行く、これはただ事じゃない、心してやっていかなければ、と。「辞める」なんてとても言えない(笑)。毎日の練習は大変でしたけど、でもプレッシャーというほどではなかったですね。
高校から桐朋に入って、江藤俊哉先生と江藤アンジェラ先生に師事しました。「もう一度基礎からやり直しましょう」と言われ、まずアンジェラ先生に音階やボウイングをじっくりと見ていただいて、それから俊哉先生のところへ。レッスンは毎回、緊張の極みでした。
俊哉先生はピアノがとても上手で、生徒の伴奏をしながら一緒に音楽の流れを作っていく。レッスン中に集中力が落ちたり、言われたことをすぐにできないと叱られるんです。指使いも全部頭に入っていて、ちょっとでも自己流の指使いをするとすぐに「そこは違う」と注意される。先生は楽譜を見ていらっしゃらないのに。厳しいレッスンで、鍛えられました。
大学1年の時に授業で弾いた《英雄の生涯》がとても印象的で、オーケストラの魅力に開眼したのはこの曲です。引き続き研究科でも勉強させていただいて、98年にフリーランスの生活へ。オーケストラのエキストラへ行ったり、音楽評論家の長谷川武久先生に小さなスペースでリサイタルをする機会をいただいたり。
ただ、だんだん映画音楽などの仕事が増えてきて。やはりクラシックを弾きたい、オーケストラに入りたいな、と思っていた時期に、高校・大学で仲良しだった高橋純子さん(都響チェロ奏者)から都響のオーディションの情報をいただきました。運良く入ることができて、入団は2006年です。楽団員としてはまだ7年目ですし、これからも常に向上心をもって、慢心することなく弾き続けたいなと思っています。

(『月刊都響』2012年6月号 取材・文/友部衆樹)

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