NEXT CONCERT|大木麻理(6/5公演)

公演情報

6/5定期Bに向けて、オルガニストの大木麻理さんにインタビューをしました。
オルガンの仕組みや注目のポイントなど、大木さんならではの視点で語っていただきました。
 
■生誕100年にあたる芥川也寸志の「オルガンとオーケストラのための《響》」について、注目のポイントを教えてください
 
最初は拮抗する2つの「響」が、いつしか1つの爆発的なエネルギーの塊となって、その「響」をホール中に満たす様をお楽しみ頂きたいです。
ラストには圧巻のハ長調の和音が待ち受けるのですが、そこに向かって突進していくオスティナートのかっこいいこと、、弾いていて鳥肌とニヤニヤが止まりません!
サントリーホールのパイプオルガンの囁きから絶叫まで、楽器の可能性を活かし切りたいと思っていますので、その音色の変容にもご注目ください。
ホールの落成記念式典のために書かれた作品を同じ会場で弾く機会を頂けるとは、音楽家冥利に尽きる思いです。
感謝と共に魂を込めて演奏いたします。
 
  
■今回演奏するオルガンの場所(位置)について
 
今回の公演では、サントリーホールが所有する2つの演奏台を作品によって使い分けます。
パイプの真下にあるのは『メインコンソール』と呼ばれ、鍵盤とパイプなどの装置が直接繋がっていて音が出ます。
舞台上で演奏する『リモートコンソール』は、”テレビのリモコン”と言うとイメージしやすいでしょうか、、、鍵盤を弾くと本体がその信号を受け取り同時に作動する、つまり遠隔操作をしています。
その分、音の立ち上がりに若干の時差があるのですが、指揮を鏡越しではなく直接見れますし、周りから様々な楽器の音がしますので、普段オーケストラの皆さんと離れて弾くことの多いオルガニストにとっては、慣れてしまえばアンサンブルがしやすいです。
よく大きな電子オルガンと間違えられてしまいますが、音は正真正銘パイプから出ています!
 
※『メインコンソール』は「オルガンとオーケストラのための《響》」、『リモートコンソール』は「ツァラトゥストラはかく語りき」で使用します。
 
 
■「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭でオルガンの重低音が鳴り響く箇所はどのように音を作っていますか

この箇所ではオルガンの最低音「C(ド)」が、さらにその2オクターブ下の音に聞こえるように音色の指定がされています。もはや人間の耳で何の音かは聴き取れないでしょう。
そのため録音するのも大変なようで、しばしば録音技師泣かせとも言われるようです。
「C(ド)」の音そのものというよりは、ホールの壁や床、そして身体に響く振動を感じながら、この作品の世界に誘われていく感覚を味わって頂けたらと思っています。
今回はサントリーホールで最も長く低い音のする10m超の足鍵盤のパイプと、楽器やホール全体が響きで満たされるように、様々な鍵盤の低い音を同時に鳴らす工夫をしています。
 
 

第1022回定期演奏会Bシリーズ
2025年6月5日(木) 19:00開演 サントリーホール

指揮/小泉和裕
オルガン/大木麻理

モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調 K.297 (300a)《パリ》
芥川也寸志:オルガンとオーケストラのための《響》(1986)【芥川也寸志生誕100年記念】
R.シュトラウス:交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》op.30
公演詳細